広島について

広島が勝つところを久しぶりに見た。最後に見たのはジャイアンツとの一戦目で、二戦目は草野球に行ってて観てなかった。だから1週間ぶりに勝つところを見たことになる。3試合連続で無得点とか、ウンザリするようなゲームを見せられ続けたので、昨日の勝ちは気持ちがいいもんです。いや、中日が相手くらい、大野でもない限り勝たんとあかんやろ、という感じもあるんですが(ドラゴンズファンのみなさんすみません)、それにしても気持ちがいいくらい、きのうは内容が濃かった。とくに、5回裏、二死満塁で森浦が登板し、初球を福留がジャストミート、打球は森浦に当たってホームへ跳ね返り、會澤がとっさの機転でボールを拾いに行って間一髪で一塁アウト。あのシーンはすごく良かった。まず、いつも7回を任せる森浦を、5回にワンポイントとして投入するベンチの機転があり、次に代打で出てきて森浦の初球を完全に捉える福留の強気と技術、最後はホームベースを空けてまでボールを拾いに行った會澤のファインプレー。たった一球のワンシーンでいろんなものが見れました。
まあ昨日のゲームについて喋りたいことはたくさんあるんですが、それはさておいて、現在の広島についてですが……、河田コーチが戻ってきたといえど、いまのところ、泥臭い機動力野球は、いまいちできていない、という印象。西川なんかは、自分を犠牲にしてでもチャンスを広げよう、点を取ろうとする姿勢が、あきらかに見てとれるんですが、他の野手には、あまりそれが見受けられない。また、三塁ランコーが消極的に見える。去年は広瀬が三塁ランコーを勤めていたけど、今年は誰だっけ?まぁ、誰でもいいんだけど、暴走でもいいからホームに突っ込んじまえ!というシーンで、ランナーを止めてしまいがちな気がする。結局、ランナーというのは、ホームに帰らなきゃ意味が無い。貯めたってしょうがないんだ。今の三塁ランコーには、少々無茶でもランナーをホームに突っ込ませる勇気を持ってもらいたい。それから、打順が合ってない、と思う。俺は、鈴木は4番では無いし、西川は3番では無い、と思ってる。というのも、鈴木は去年150打席ほど連続でタイムリーが打てなかったことが示すように、チャンスに弱いところがある。ランナーのたまった場面で回ってくると、縮こまってるフシがある。脚力もあることだから、鈴木は1番がいいんじゃないかなと思う。次に西川だけど、2019年には4カード連続で先頭打者HRを放ったことがあるくらい、思い切りのいいバッターであること、またそのありあまる打撃の才能を、自己犠牲の打撃に使わせるのはもったいない、と考えると、西川も1番か、あるいは4番がいいのではないかと思う。なんの制約も無いポジションか、純粋にヒットやHRを求められるポジション、それらが西川には合っているんじゃなかろうか。まだ言いたいことはある。次は田中とメヒアについて。この2人は下げなければならない。田中が不調である今こそ、若手たちをショートで競わせるべきじゃないのか。ただ、何も、二度と田中を使うなというわけじゃない。現状、田中本人もそうとう辛いはずだ。どう足掻いても打てない、走りや守備、あるいは勘、といったものが衰えだして、結果が出ない、ミスも止まらない、泥沼に飲み込まれるような苦しさの中、選手会長という立場上、泣き言は言えない、気丈に振る舞わなければならない、この状況。田中は既にいっぱいいっぱいの精神状態にあると、勝手に推測するのだけど、それを踏まえて、少し休ませるべきだと、俺は思う。そして、小園や矢野、曽根といった若いところを起用してチームに新しい風を吹き込みつつ、彼らを競わせて力をつけさせる、そういうことも必要だろう。蛇足だけど、田中が衰えただの、赤い倉本だのって、ヨソの人間に言われるのは我慢ならん。田中を何だと思ってんだ。3連覇の間、ずっと1番ショートを張って、盗塁王、最高出塁、ゴールデングラブを獲った、広島の自慢のリードオフマンだぞ。てめえらに田中をバカにされてたまるか。ましてや倉本と同格に見られてたまるかい(denaファンのみなさんごめんなさい)。もう1人、メヒアについてだが、まるで期待ができない。あの体格からして、芯にくらえばスタンドへ一直線、を期待できそうなものだけど、メヒアを見ていて、少しもそんなイメージが湧かない。スイングに力を感じない。仮に、芯に当たって、いい角度であがっても、スタンドには届かないんじゃなかろうか。どうにも、スイングが弱々しく感じる。ましてやその芯に当てるということができないのだから、いよいよメヒアを起用する理由が無い。なぜ一軍にいて、使われているのかが、最も分からない選手である。あのひ弱なスイングが治らない限り、メヒアはいっさい起用する必要が無いと思う。
そろそろ投手陣についても考えてみる。まず、ルーキー三人衆のうち、栗林と大道はかなりいいと思う。とくに栗林はずば抜けている。俺は、この記事で、現在絶好調の菊池について何も言及してないけど、菊池の活躍については、もう当たり前のように思っているから、わざわざ書かないのであって、たとえば、15年前のイチローが、3安打とか4安打とか、3割とか200本とか打っても、なんとも思わないでしょ?そんなの当たり前だから。菊池が二遊間や一二塁間の難しい打球を捌いても、なんとも思わないでしょ?そういう意味では、活躍すれば騒ぎになる大谷翔平は、まだまだである。本当にスゴいヤツは、活躍しても、何も言われないのだ(本人は寂しいかもしれない)。菊池の打撃に関しては、去年の後半の時点で、神がかったものがあった。特に、ここぞという場面では、恐ろしいほど打ちまくった。巨人の戸郷が、完封勝利すれば、あるいは森下をしりぞけて新人王に手が届く、という広島対巨人の一戦、広島打線は8回まで0点に抑えられたが、9回、一死一塁から、バッター菊池、放った打球は逆方向への大きなフライ、そして戸郷の勝ちも、完封も、新人王をも打ち砕く、起死回生の同点2ランHR。あの一打席は、とくに語られちゃいないが、俺には強烈な印象を残した。こいつは鬼神だ、と思った。まあ、そういうことがあって、今年の菊池が、どの程度の数字を残すかは知らないけど、守備だけでなく、打撃でも大いに活躍することは、とっくに予想がついていた。分かりきっていたことなので、わざわざ言及しなかった(今しとるがな)。何が言いたいかというと、栗林については、もう、何も言うことが無い。それくらい、スゴい。最終回に登板して、リードを守りきったところで、よく抑えた!とか、まったく思わなくなった。いや、最初の2、3回は思ってたんだけど、今はもう何にも思わん。当たり前の朝飯前じゃなかろうか。いや、まぁ、本人は死に物狂いかもしれないし、いずれは打たれたり、セーブ失敗するんだろうが、少なくとも今の栗林は、なんにも心配することがないし、きっちりセーブしても何も思わない。たいしたピッチャーである。次に大道、直球は145前後だけど、力がある。藤川球児じゃあるまいし、この直球だけで抑えていけるとは思えんけど、確かなこととして、直球がいい。あとは、こう、なんというか、負けん気が強いやつなんだろうな。バッターにガンガン向かっていける気の強さがあって、リリーフに向いていると思う。なんだか九里二世って感じがする。きのうのゲームでは、2点リードの中リリーフ登板して、2イニングを無失点でしのいで勝ち投手になる活躍があったが、ルーキーにはなかなかできないことだろう。この2人をドラフトでとったのは当たりだと思う。あと1人の森浦については、常に危なっかしい。投げるボールも、特別速い訳でもない、曲がるわけでもない。コントロールにも不安があるし、そもそも毎回ド緊張しているようにしか見えない。心臓が弱いのだろう。だというのに、いまのところしっかり結果を残しているのが、不思議でしょうがない。気が弱いくせに、泣き出すと急にケンカが強くなる子供みたいに、震えながら投げてピンチを招くと、とたんに開き直ってめいっぱい腕を振っている。個人的にはリリーフというより先発の方が向いているんじゃないかな、という印象。まぁ、森浦についてはこの先を見てみないと、今の段階ではよく分からない。そして、新兵器コルニエル。広島ファンしかこのピッチャーを知らないだろうけど、なかなかゴツい直球を投げる。150キロ後半が基本である。ストライクもそれなりにとれる。つまり、右のフランスア、といったところ。いまは、敗戦処理として投げているが、1点たりともとられていない。その豪速球で強引にバッターをねじ伏せている。雰囲気も非常にふてぶてしい。常に不機嫌なのではないかという感じさえする。追々、勝ちパターンで起用されるようになると思うが、僅差リードの場面でどれだけ強気でその豪速球をストライクゾーンに放れるか、楽しみなピッチャーである。と、このように、リリーフに関しては、なかなか充実していると思われる。せいぜい、島内が何の役にも立っていないくらいだ。島内が去年現れたときは、スゴい球を投げるヤツが出てきたもんだと驚いたけど、いくらスゴい球でも、ストライクをとれなきゃお話にならねえ。一度二軍に落として、よく練習させた方がいいんじゃないのか。先発陣についてだけど、開幕前、心配無いのは森下と九里の2人だけだった。そして現状、やっぱりこの2人は安定していると思う。森下はこないだ阪神打線にやられたけど、そういうときもある。いちいち気にとめる必要も無い。森下はすでに、わざわざ言及する必要のない投手である。九里も無事に勝ちを重ねているようだけど、残念なことに九里の登板は土曜日、俺は草野球に行ってるので、九里の投球をまったく見れていない。好きな選手なだけに、本当に残念。九里の野球はぶ厚い。切っても切っても切れないぶ厚さがある。それは投球においても打撃においてもそうだ。とにかくやることなすことがぶ厚くて、簡単に崩れない、それが九里の強みであり、去年の後半からは、より一層厚みが増した。この男もやはり、何も心配する必要が無い。大瀬良は、それなりに勝ってそれなりに負けるんだろうな、と思っていたら、まさかのケガによる離脱。うーん……前田智徳だったと思うけど、広島のエースは大瀬良では無い、と言う人がいたが、たしかに、大瀬良はエースじゃない。森下ほど一級品でもなければ九里ほどの厚さもない。なんだかフワフワしている。ケガをして、トレーナーに背負われて運ばれていくときの写真を記事にて見たけど、笑っていた。今、自分が離脱すれば、チームが苦しくなる、優勝が遠のく、と考えれば、笑うどころか青ざめた顔をするはずだけど、周りを気づかっているのか何なのか、ケガして笑っているということは、この人は特に、チームを背負ってはいないんだろう。俺は大瀬良より、森下や九里のほうがよっぽどエースだと思う。それから野村、まぁこの人は長いイニングを投げられないということを、佐々岡も去年理解したことだろうし、今年はほどほどのところで下げてもらいながら、1年間それなりに活躍するだろう、と予測していたんだけど、まさかの登録抹消。ええ?ケガでもしたのか?一度打ち込まれたくらいで登録抹消とは気が早すぎる。やっぱり、どこか具合が悪いんじゃないかしら。先発6人のうち大瀬良、野村、中村がローテから外れて、広島の先発はこの先いったいどうなるんだろう。やっぱり、森浦を先発に回してみたらどうだろうか。