おれはヘタな絵を見るのが好きだ。絵がうまいヤツっていうのは、どういう手順を踏めば上手な絵が完成するか、そのノウハウを把握していて、そのとおりに描いているだけなんだが、ヘタなヤツっていうのはどうやって描けば上手な絵が完成するのかを知らない。知らないから、闇雲に、がむしゃらで、体当たりで必死に絵を描く。そうして結局ヘタなものが完成しちゃうんだけど、おれはそういう必死さ、体当たりな姿勢がとても好きだ。つまり作品に『情熱』があるからいいんだ。
でまぁ野球でもそうなんだけど、情熱を持ってプレーするやつがおれは好きだ。打球を華麗にさばけなくても、体で止めてまで打球を処理したり、どこかを擦りむいてでもスライディングしたり、しょぼい内野安打一本でおおはしゃぎするような、そんな情熱的なプレイヤーがおれは好きだ。
おれが一番嫌いなのは、そういった『情熱』をあざ笑うやつらだ。