優柔不断

面接で志望動機を聞かれたときはどうすればいいのか。そりゃ、自己実現をするためにうんたらかんたら、社会貢献のためにうんたらかんたら、そんな聞こえのいいことが言えればいいけど、俺にはそんな高尚な思想がない。演技する気もない。「ジェイック」ではその高尚ぶる演技を強要されたけど、たちまち精神的に激しく疲労するだけだ。だから今回の就活では、志望動機をお聞かせください、などとマヌケな質問を投げられたら、給与がいいから、とか、休日が多いから、とか、本当のことを言うつもりでいるのだが…、こまったことに、なぜ俺はこんなところに応募を投げたんだ?と自分でも応募した理由がわからないような、給与が安かったり、残業が多かったり、休みが少ないところばかりと面接するスケジュールになっている。こうなっては、志望動機について正直に答えることすらできない。なんにも言うことがない。「ありません」「なんとなく応募しました」これではさすがに面接官もあきれるんじゃないか。給与や休日を挙げたところであきれられることには変わりないが、まだ理由を答えているだけ会話が成立しているというか、面接官によっては「まあそうだよな」って納得してもらえるかもしれないが、「ありません」はさすがに「こいつはバカなのか?」と思われそうだ。ギャグやウソを言って人にバカだと思われることはなんでもないのだが、それが自分の実の部分から出た真実の言動であったなら、バカだと思われるのは屈辱だ。だからといって聞こえのいいウソで取り繕っては苦しい思いをさせられる。いったいどうしたらいいのか。俺はdodaという転職エージェントから求人を取り寄せているのだけど、まさか面接をボイコットするわけにもいかない。そんなことをしたらdodaから求人をもらえなくなるかもしれない。元はと言えば関心のない求人にも応募するよう俺に働きかけたdodaの側も悪いけど、実行したのは俺であり、俺の優柔不断さが招いた事態なんだ。やっぱり、面接は受けるだけ受けないと、(頭の悪い言い方をすると)スジが通らない。さて、志望動機についていったいどんな言い訳を用意すればいいんだろうな…。