理想の女性

ぼくは2週間に一度精神科に通っているのね。そこでカウンセリングも受けてるわけ。このあいだのカウンセリングで、恋愛についての話になったんだけど、カウンセラーから「荒巻さんはどういう女性が好みなんですか?」って聞かれたの。で僕は「国立大学を出てる人がいい」って答えたわけ。カウンセラーのおばさんは「そんなことを言う人は初めてだ」ってケタケタ笑ってたけど、これわりと真剣な話で、まぁ国立大学出身ていうのはひとつの指標で、ようするに頭のいい女性をお嫁さんにほしいわけね。なんでかっていうとぼく自身がバカでチャランポランだから、頭のいい人と付き合わないと成立しないって思うの。草野球やってるとつくづく思うんだけど、組織って1人は必ず組織を牽引できるしっかりしたリーダーっていうのが必要なわけ。家庭もひとつの組織なわけだから、ぼくがバカヤロウなわけで、嫁さんもバカヤロウだったら、その組織はいずれかならず崩壊するって思うの。だから家庭をしっかり牽引できる頭のいい女性とぼくは結婚したいのね。でもういっこ条件があるんだけど、バカみてえに明るい人がいいの。いや、かなりムリのある条件だって自分でもわかってるんだけどね、だって国立大学出ててバカみてえに明るい人って、そんな女がおるかいな、成立してへんやないか、っていう話だけど、でもやっぱいくら頭がよくたって、なんだかネチネチした性格だったり、ヒステリックな性格だったら、ぼくは付き合っていけないのね。それにぼく自身も暗ーいヤツだから、つまり底抜けの明るさでぼくの暗さを包み込んでほしいわけだね(なんという詩的な表現だ)。
でそんなことを考えてたら、ふと思い当たる人がいたのね。それは中学生のころの同級生の女の子で、この子が勉強がよくできる頭のいい子で、実際そのあと進学校を経て岡山大学に進学したくらいで、性格も明るくって、人にすっごく優しくできる、まぁよくできた人間だったの。友達がたくさんいて、なんだったらいわゆるメンヘラっぽい女の子とも仲良くしてたような、そんな懐のデッケェ徳の高いお方だったわけだね。ぼくはその当時はその子が素晴らしい女性だとは気が付かなかったんだけど、歳をとるにつれて気がついてきて、ああ、あの子と結婚してえなぁ、とかそんなこと考えたり、妄想しちゃってんのね。カウンセリングで出したこの「国立大学を出ている」「バカみてぇに明るい性格」っていう条件って結局、もう15年ほど昔のクラスメイトがモチーフになってるって気がついたわけ。いや、15年前って、わしどんなけ過去にとらわれて生きとんんねん!